ご挨拶
代表より
米国政府は、かつて「21世紀に向けた決定的に重要な技術(Critical technologies for the 21st century)」の1つとして、シミュレーションを位置づけました。大規模システムへの応用事例と総合的システム分析技術として広範囲に活用されています。シミュレーションは、通常ソフトウェアを用いてコンピュータ上で、実際のシステムの挙動を模擬するための手法や応用を含む広範囲にわたります。実際、このアプローチは多くの分野や産業にわたって広く適用されており、シミュレーションは極めて一般的な用語となっています。今日、シミュレーションソフトウェアのモデリング機能は、従来と比べて格段に向上しており、シミュレーションはより広範囲に普及しかつ強力になっています。さらに、IoTやAI、機械学習など情報ネットワーク技術や3Dアニメーションによるモデリングなど、シミュレーションを取り巻く環境が発展してきたことにより、新たな段階を迎えています。
私は、ペンシルベニア州立大学大学院在学中に、C.D. Pegden教授からシミュレーションの指導を直接受けて以来、同教授の開発されたSIMAN/Cinema、Arena、そしてSimioをわが国で紹介してきました。特に欧米では、シミュレーション技法は最も重要なシステム技法として位置づけられており、さらに最近では、中国などでも教育機関や産業界で重要視されています。他方、わが国では、諸外国と比べて、それほど活発には活用されていないのが現状です。
今般、Pegden博士(Simio LLC. CEO)ほかSimioシミュレーション開発チームの協力を得て、当技術士事務所がわが国においてシミュレーション技術のさらなる普及の一助となれれば欣幸です。
代表 高桑 宗右ヱ門 技術士(経営工学・総合技術管理部門) 登録番号 第65980号
Ph.D(経営工学)、博士(経済学)、名古屋大学名誉教授
シミュレーションについて
シミュレーションには多様な種類があります。
そのうち、システムシミュレーション(system simulation)ないしはシミュ レーション技法と呼ばれる技法を扱っています。コンピュータシミュレーションは、広範囲にわたる現実世界のシステムについて、そのオペレーションや 特性を模擬実験で計量的評価を行うことによって研究するための手法です。シミュレーションでは、システムのモデルが扱われます。対象とするシステムは、工場・生産システムや病院・店舗・コールセンターなどのサービスシステム、さらに倉庫・輸送で構成される流通システムやサプライチェーンシステムなど、現存あるいは計画中の施設やプロセスです。
シミュレーションの応用事例
- 製造業・工場・生産システム
- 空港業務(乗客、セキュリティ、飛行機、クルー、空港手荷物)
- 病院(診察・検査、救急救命室、手術室、外来患者、入院患者)
- 港湾(コンテナヤード、荷役)
- 採掘(鉱山マイニング)
- テーマパーク・遊園地
- コールセンター・カスタマーサービス
- 流通・ロジスティクス・サプライチェーン
- 公共部門
- 小売店舗・ファストフードレストラン・銀行(個人にサービスを行う業務)
- ビジネスプロセス(事務所業務)
- 高速道路
- 緊急対応システム
- 通信・コンピュータネットワーク
いくつかの実際の応用事例に関しては発表論文をご覧ください。